第217章

二人はそのまま先へ進んだ。ところが展示ケースをひとつ曲がったところで、ちょうど黒田理沙と同じ区画に出くわす。

当の黒田理沙は、こちらに気づきもしない。視線のすべてを、ケース内に並ぶ鎌倉時代の品々へ注いでいた。

わずかに身を屈め、器の色合いと模様を丹念に追う。やがてスタッフに合図し、そのうちの一点を取り出させた。

黒田美穂は一目で分かった。鎌倉期の染付。しかも今日の展示室でも、値札の桁が違う目玉のひとつだ。

美穂の目がきらりと揺れる。次の瞬間、わざと声を張った。

「姉ちゃん」

理沙の手が止まり、ゆっくりと視線が上がる。

目の前の二人を認めても、表情は微動だにしない。まるで通りすが...

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