第219章

「ありがとう、景太」

黒田美穂の声はやわらかく、瞳の奥の光がきらきらと揺れていた。

井口景太は、彼女がうつむいてネックレスを撫でる仕草を見つめる。さっきまでカスタマーセンターに門前払いを食らって燻っていた苛立ちが、ようやく少しだけ引いていくのを感じた。

景太は店員へ顔を向ける。

「これで。包んでください」

店員はうなずき、タブレット端末を取り出して黒田美穂の前へ差し出した。

「お客様、本人確認の登録をお願いいたします。ブランド側の規定により、ロイヤル・ヘリテージ・コレクションをご購入のお客様は実名登録が必須となっております。今後のメンテナンスサービスのご案内のためです」

黒田美...

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