第237章

夜風が襟元からすうっと入り込み、黒田美沙子は肩をすくめて首を縮めた。

二人が立っているのは療養所の外、道路脇。みっともないほど泥だらけで、惨めな姿だった。

「守、どうするのよ……あの子がまさか莉々だなんて……! どうして、莉々が……!」

黒田美沙子は奥歯を噛みしめ、目には怯えが濃く滲む。

「黙れ!」

黒田守が苛立たしげに怒鳴りつけた。顔色は暗く、今にも黒い雫が落ちそうなほど沈んでいる。

彼はそびえ立つ療養所を睨み据えた。瞳の奥で、狂気じみた光がぎらつく。

「黒田理沙は今、相当使える。ここで手放すわけにはいかねえ。あのババアに、きっちり黒田理沙を説得させるんだ」

その言葉に、黒...

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