第241章

二人が並んで入ってくると、ホール中の視線が、吸い寄せられるようにそちらへ流れた。

「……あれは……」

黒田美沙子の呼吸が、ふっと一拍止まる。

「青山家……?」

黒田守也も、見えた。

青山博文と青山彩。

その後ろに、若い男がひとり。金縁の眼鏡、柔らかな物腰。両親の少し後ろを、落ち着いた足取りでついていく。

青山遥斗。

「……本当に来たのね」

黒田守の声が、かさついていた。

黒田美沙子は三つの背中を追う。受付係が自ら前を歩き、最前列の中央へ通す。腰を折って笑みを貼りつけ、丁重というより、怯えるほど慎重な態度だった。

「国内一の大富豪まで……」

呟いた喉の奥が、つんと痛む。...

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