第244章

「さっきの男二人は? 一人は帰った。もう一人も帰った」

小首をかしげ、嘲るように言う。

「なに、捨てられたの? それとも、あんたの尽くし方が足りなくて飽きられた?」

黒田理沙は眉をひそめたが、振り返らない。

視線は道路の向こう側にある店のほうへ据えたまま、淡々と返す。

「何の用?」

「用なんてないわ。ただ、今のあんたの顔が見たかっただけ」

黒田美穂が半歩、距離を詰める。声はさらに低く、ねっとりとした悪意が滲んだ。

「ずいぶん器用じゃない。男二人を手玉に取ってたんでしょ? ほら、化けの皮が剥がれた? 一人も二人も、もう要らないってさ!」

黒田理沙はまぶたすら上げない。跳ね回る...

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