第248章

彼はくるりと身を翻した。さっきまで威厳で固まっていた老いた顔に、瞬く間に媚びるような笑みがべったり貼りつく。

周囲がぎょっと息を呑むなか、研究界とビジネス界の大物が、黒田理沙の前まで小走りで駆け寄った。

「理沙ぁ!」

大原爺さんは黒田理沙の袖をつかみ、甘やかしきった声で言う。

「ほら見てみろ。外には変なのがわんさかいて、おまえに言いがかりつけてくる。もう俺の孫になっちまえ! おまえがうんと言うなら、明日にでも俺の持ってる株も研究所も、全部おまえ名義にしてやる!」

ざわっ、と空気が揺れた。

花村尚希は傍で眉をわずかに上げただけで止めはしない。代わりに、独占欲を隠しもせず黒田理沙を腕...

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