第250章

一時間後――井口家の別荘。

井口母はソファに身を預け、紅茶のカップを手にしたまま、井口景太の話を最後まで聞き終えると、長い沈黙に落ちた。

「やっぱりね。あの女、ただ者じゃないと思ってたけど……子どもであんたを縛りつける気だったわけだ」

眉間に深い皺。声には露骨な嫌悪が滲む。

井口母は大きく息を吸い、目を閉じてから吐き出した。

「……いいわ。孫のためよ。この件は私が前に出る」

そして淡々と言い切る。

「今夜の片山教授のチャリティーパーティー。あの一家を連れて出席する。パーティーで顔を出せば、外も分かるでしょう。黒田家には井口家がついてるって。踏みつけようとしてる連中も、さすがに考...

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