第26章

黒田理沙が青山家のドアを押し開けると、リビングの明かりはまだついたままだった。

青山彩はソファに腰掛け、すっかり冷めた茶を手にしていたが、ドアの音を聞いた途端に立ち上がる。顔いっぱいの焦りは、黒田理沙の姿を認めた瞬間、ぱっと喜びに変わった。

「理沙、おかえり!」

早足で駆け寄り、その視線が娘の全身をひと巡りする。無事だと確かめて、ようやく胸を撫で下ろした。

「どうしてこんなに遅かったの? ママ、心配でたまらなかったのよ」

青山博文も書斎から出てきた。手にはまだ書類を持っている。物音を聞きつけ、急いで出てきたのは明らかだった。

彼は黒田理沙を見て、何も言わずにひとつ頷く。

「無事...

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