第32章

花村雪乃の顔色は真っ青だった。唇がわなわな震え、声まで裏返る。

「わ……私は、おじさんのために……! 律が言ったの、これを使えばおじさんは早く良くなるって。特効療法だって、見た目は怖いけど、身体にはいいんだって――」

「特効療法?」

黒田理沙が遮った。声の温度がすっと落ちる。

「花村研介さんの病気は、救命が必要な時期なら強い薬を使うこともある。でも今はもう急性期は過ぎて、体を整えながら回復させる段階よ。あなたの彼氏が使ったのは禁制薬なうえ、薬性が強すぎる。今の花村研介さんの状態じゃ耐えられないし、仮に耐えたとしても――後々、依存が残る」

一拍置き、理沙の視線が、血の気の失せた林谷律...

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