第33章

黒田守が脇で声を潜め、せかすように言った。

「指紋が取れたらさっさと行け。誰かに見られたら面倒だろ」

「分かってる」

黒田美沙子はベッド脇に身を乗り出し、祖母の親指を皿の粉に押しつけてから、書類の上へとべたりと落とした。口元は止まらない。

「美穂はどうすんのよ。あのクズのせいで美穂はムショ行きだよ? 井口景太が動いて引っ張り出してくれなきゃ、今ごろどこの刑務所で苦しんでたか分かんない。あんたも祖母なら孫のこと考えなさいよ。なんであんな他人の肩なんか持つのよ……ほんと、くたばればいいのに!」

扉の外に立つ黒田理沙は、その罵声を背中で聞きながら、視線を少しずつ冷たく沈めていった。

幼...

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