第36章

ショッピングモールの正門の外で、黒田美穂は井口景太の腕にしがみつくように抱きつき、首を伸ばして待っていた。

腕に絡めたまま、人混みの向こうをしばらく探したが、目当ての姿はどこにもない。

警備員が言うには、社長はすでに裏口から出たらしい。結局、影すら拝めなかった。

「……もういい」

井口景太の顔色は冴えない。苛立ちを押し殺した声で言った。

「次にしよう」

黒田美穂は素直にこくりと頷き、踵を返しかける。――そのとき、視界の端にショッピングモール脇の出入口が映った。

中から出てきたのは、男。

背が高く、すっと伸びた体躯。肩幅があり、脚が長い。そこに立つだけで、周囲の空気が一段重くな...

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