第37章

黒田理沙が玄関のドアを押し開けると、リビングの灯りはまだ点いていた。

青山彩がソファから立ち上がり、早足で近寄ってくる。視線が娘の全身を一周し、無事を確かめたところで、ようやく肩の力が抜けたようだった。

「理沙、帰ってきたのね。どうしてこんなに遅いの? もう食べた?」

「食べたよ」

黒田理沙はスリッパに履き替え、そのまま奥へ歩く。

さっき田中菜々緒からメッセージが来た。大口の客が5億で、次のシーズンのジュエリー一式を前倒しで買いたいと言っているらしい。完成には近いが、まだ詰めるべき細部が残っている。今夜中に段取りを組まないと間に合わない。

青山彩は隣をついて歩きながら、ふと理沙の...

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