第39章

そのときだった。山道の果てから、低く唸るエンジン音が流れてきた。

ロールス・ロイスが一台、山荘へ滑り込んでくる。ボンネット先端に立つ小さなフライング・レディは、この場にいる誰もが見覚えのあるものだった。

ロールス・ロイスの最上位カスタムモデル――あの一台だけで、京清市ならマンションを一室買えてしまう。

だが、皆を本当に息を呑ませたのは、それだけではない。

車が静かに停まる。後部ドアが開き、灰色のスーツに身を包んだ中年の男が降り立った。

髪は一分の乱れもなく撫でつけられ、革靴は鏡のように艶を放っている。両手で抱えているのは、ディープブルー・グループのカラーを思わせるベルベットのケース...

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