第42章

青山彩が近寄ってきて、心配そうに言った。

「お母さんも一緒に行こうか?」

「大丈夫」

黒田理沙は背筋を伸ばし、少し考えてから付け足す。

「父さん、母さん。しばらくは身分を公にしたくないの。普通の社員として、下から一度ちゃんと見てみたい」

青山博文の眼に、意外そうな光が一瞬走り――すぐに笑みへ変わった。

青山彩へ目をやる。その視線には、確かな称賛が滲んでいた。

この子は、思っていた以上に落ち着いている。

会社を引き継いだばかりで、いきなり看板を掲げて威張るのではなく、まず中身を確かめるつもりか。

その胆力は、誰にでもあるものじゃない。

博文は頷く。

「いい。お前の言うとお...

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