第46章

「そう言うと、彼はドアを開け、口元をつり上げた。

『行こう。送っていく』」

黒田理沙は、夕陽に引き伸ばされた彼の影を見つめ、ほんの一瞬だけ黙り込んだ。

ここはあまりにも不便だ。前に来たとき、アプリで配車を呼んでも三十分待って、結局一台も捕まらなかった。

視線を引き戻し、理沙は身をかがめて助手席へ滑り込む。

車は村を抜け、市街地の方角へ走り出した。

花村尚希は彼女の手を握ったまま、しばらくして不意に言う。

「これから、毎日一緒に飯を食う」

「無理。忙しいの」

黒田理沙は即座にやんわりと断った。

本当に忙しい。アトリエのこと、研究所のこと、会社のこと。予定表は毎日ぎっしりだ。...

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