第50章

山本清司は受付に立ち、黒田美沙子を静かに見据えた。声音は落ち着いていて、急きも煽りもしない。

「療養所の手続きは、すべて適法に行われています。契約の流れにも不備はありませんし、支払い記録も明確です。ご不満がおありなら法的手段を取ってください。ですが、ここで騒いでも意味はありません」

その一言で、黒田美沙子の顔色がさっと変わった。青ざめたかと思えば、次の瞬間にはかっと赤くなる。

「適法ですって? 誰が署名したのよ。誰がお金を払ったの? 家族の私たちは何も知らないのに、あなたたちはいったい誰と契約したっていうの!」

言うほどに興奮は増し、声は甲高く鋭くなっていく。

ホールの端から端まで...

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