第63章

エレベーターを降りると、黒田理沙はそのまま会議室へ向かった。

長いテーブルの両脇には、すでに人がびっしりと並んでいる。技術部の責任者が報告を続け、スクリーンには数字と資料が次々と映し出されていた。ひそひそ話をする者もいない。机の下でスマホをいじる者など、なおさらだ。

秋元部長の一派が一掃されてから、残った人間は皆、嫌でも思い知らされていた。

この若い新社長は、ただ顔を出しに来ただけの飾りではない。

黒田理沙は一番奥の席に腰を下ろし、指先で一本のペンをくるりと回していた。

報告を聞く横顔は、ひどく静かだった。視線は伏せられ、長い睫毛の影に隠れた瞳の奥までは読めない。

会議が半ばに差...

ログインして続きを読む