第73章

オフィスで、山口晴子は一通の書類を黒田理沙の前へすっと置いた。

「倉庫に入ってたあの偽造品の仕入れ元――中村慶太の義弟、田辺重夫が持ってる貿易会社と、法人名が一致しています。仕入れ契約の署名者も同じ人物でした」

山口の声は切れ味がいい。

「連中の動きは、全部ひとつの方向を指してます。もし本当の“大物”が中村慶太なら、少々厄介かもしれません。あの人、会社に十年近くいて……青山社長の頃からの古株です。人脈も深いし、利害関係も複雑で」

黒田理沙は書類を閉じ、視線を上げた。

「厄介だろうが何だろうが……私のところまで来たら、正体を引きずり出す」

山口は彼女を見て、口元をふっと緩める。次い...

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