第75章

彼女はスマホをポケットにしまい、身をかがめて靴を履き替えた。花村尚希はその後ろについて、黙ってバッグを持ってやる。

リビングでは、青山美玲がソファに座ったまま、両手をぎゅっと握りしめていた。

黒田理沙がうつむいてスマホを見る顔。

その画面に、銀行からの入金通知が二件、ちらりと映ったのを見た瞬間――青山美玲の顔色がさっと変わった。青くなり、次には白くなる。

どうしてパパもママも、あの女にあんな大金を振り込むのよ?!

自分はあれだけ言ったのだ。

一言一言、両親がいちばん引っかかるところを狙って、丁寧に刺した。なのに。

結果はどうだった。

咎めるどころか、二人そろって1億ずつ送金し...

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