第86章

川村南は設計稿の端をぎゅっと握りしめた。指の関節が白くなる。

「秋元さん。会社のためを思って言ってくれてるのは分かってます」

声は少しだけ強張っていた。けれど俯かない。まっすぐに秋元大輝を見据えたまま続ける。

「でも黒田社長の言う通りです。ここで引いたら、私――一生、テストと既存システムの管理しかやれなくなります。嫌なんです」

秋元大輝の眉間が、さらに深く寄った。

「一生、誰かの後ろに隠れていたくない」

川村南の声が落ち着く。噛みしめるように、一語ずつ。

「自分がまだ足りないことは分かってます。でも、できる限りの準備をします。賞が取れなくてもいい。せめて挑戦したって言えるように...

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