第87章

黒田美穂は唇を噛み、スマホを握りしめた。指の関節が白くなる。

だが、すぐに深く息を吸い込んで、込み上げた嫉妬を喉の奥へ押し込める。

彼女は俯いたまま、画面の写真を見つめた。口元がゆっくりと歪み、毒のある笑みになる。

――どれだけイケメンだろうと、何だっていうの。

所詮、遊びだ。

あんな男が、黒田理沙みたいなのに目を留める時点で、まともなはずがない。飽きたら捨てる。それだけ。

彼女は違う。

井口景太のことを思い浮かべた途端、背筋が自然と伸びた。

井口景太さえ落とせば、井口家に嫁げる。そうなれば、自分は正真正銘の名門の奥様。

そのときは――黒田理沙なんて、靴を揃えることすら許さ...

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