第89章

「じゃあ、それで」

原田岳はメニューを受け取ると、田中菜々緒の隣に腰を下ろした。ごく自然にペンを取り、さらさらと数カ所に印をつけてから顔を上げる。

「理沙、何が食べたい?」

「なんでもいい」

黒田理沙はソファに身を預け、投げやりに言った。

原田岳は彼女をちらりと見て、笑う。

「お前、学生の頃からそれだよな。『なんでもいい』って言うくせに、いざ出てきて口に合わないと一口も手ぇ付けない」

黒田理沙は口元だけ、わずかに弧を描いた。否定はしない。

田中菜々緒がソファからぴょんと立ち上がり、原田岳の手からメニューをひったくる。

「はいはい、二人とも遠慮しなくていいから。私が選んでキッ...

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