第9章

階段の踊り場で、青山彩は彫りの入った木の扉を押し開けた。

「理沙、見て。ここがあなたの部屋よ」

黒田理沙は一歩中へ入ると、ふっと目を細めた。

かなり広い部屋だった。掃き出し窓の向こうには裏庭の人工湖が広がり、夕陽の名残が水面にこぼれて、砕けた金の鱗みたいにきらきら揺れている。

カーテンはやわらかなアイボリー。とろりと落ちる質感だけで、誂え物だと分かった。

窓際にはデスクが置かれ、その上には真新しい画材が揃っている。

絵の具、筆、スケッチブック。どれも一流どころの品ばかりだ。

部屋の隅にはイーゼルが立ち、その傍らには額装された絵まで何枚か並べられていた。

青山彩はイーゼルの前ま...

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