第93章

「ほらほら、行って。何着か選んできなさい」

青山彩は黒田理沙の肩を押し、更衣室のほうへ促した。

「気に入らなかったら替えてもらえばいいの。ママが店にも話は通してあるから」

黒田理沙はそのまま更衣室へ押し込まれる。外では青山彩が店員と話していて、声には抑えきれない浮き立った喜びが滲んでいた。

理沙は、ずらりと並ぶ二列の服の前に立つ。

一着のコートの生地を指先で撫で、縫製と裁断を確かめて、小さく頷いた。

仕立てに破綻はない。シルエットも狙いどおり。

試しに一着取ろうとした、その背後で――かすかな足音。

青山美玲が、ドアをほんの少しだけ開けて覗き込んできた。

絹のスリップドレスに...

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