第96章

しばらくして、祖母もようやく気持ちを落ち着けた。

黒田理沙の手を引き、自分のほうへ少し寄せると、声をひそめる。

「理沙ね、おばあちゃん、もう遺言書を作ってあるの」

かすかな声だった。けれど、一言一言ははっきりしていた。

「おばあちゃん名義の財産はね、家も土地も、預金も株も、全部合わせたら1億ちょっとあるの。ぜんぶ、あんたに残すつもりよ」

黒田理沙の指先が、わずかに止まった。

祖母に、まだそれほどの資産が残っていたとは思わなかった。

昔、黒田家の連中に騙され、盗まれ、食いものにされて、もうほとんど残っていないものだと思っていたのだ。

「おばあちゃん、それは老後のために取っておい...

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