第100章 残り価値

中林真由はトイレの中で、呆然と立ち尽くしていた。

どれくらいそうしていただろうか。ほかの女たちが出入りする気配で、ようやく我に返る。

けれど、席には戻りたくなかった。今野敦史の向かいに座る“パートナー”が、さっき向けてきた値踏みするような視線を、もう一度受けるのが嫌でたまらない。

さっきの女は言っていた。この場では女を交換できる、しかも何度でも――と。

なら、今野敦史は、自分をいったい何回“交換”したいと思っているのだろう。

この島には、各家の跡取りや、そうそうたる会社の重役が顔をそろえている。その中には、今野グループと取り引きのある相手も少なくなかった。

本当に“交換”の対象に...

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