第143章 二十万の価値

中林真由はまず、石田渉を連れて手頃なビジネスホテルに入った。

「今、友達のところに居候してるの。だから直接連れて行けなくて……ここ数日で部屋を探すから、そうしたら一緒に引っ越しましょう」

 渉は少し驚いた表情を見せた。

「姉さん、あの広いマンションにはもう住んでないのか?」

 すぐに何かを察したようで、彼は慌てて首を横に振った。

「いや、いいんだ。やっぱり自分の家が一番だよな。他人の家なんて、どんなに立派でも所詮は他人だし」

「姉さん、無理しなくていいよ。俺だって男だ、住む場所くらい自分でなんとかできる」

 姉の言葉は明白だった。今野敦史と別れたのだ。あの豪華なマンションは真由...

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