第152章 誰に見せる芝居か?

法律事務所を出ると、北村一馬はそのまま今野敦史のもとへ向かった。

 彼の姿を認めると、今野敦史は露骨に嫌そうな顔をした。

「何の用だ? 俺は忙しい」

 また俺を暇人扱いかよ、と北村一馬は少しむっとした。

「せっかく親切に情報を流してやろうってのに」

「言ってみろ」

 今野敦史は視線を上げず、手元の書類を睨みつけたまま言った。

 中林真由がいなくなってからというもの、仕事量は激増していた。

 以前は書類の分類も彼女が済ませ、検閲済みだった内容にサインするだけでよかった。

 だが今はどうだ。全ての書類が秘書室に山積みになり、山崎奈々未たちは自分たちで判断を下す度胸もなく、いちい...

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