第155章 偶然

二人は階下へ降り、再び中林雪乃の病室を訪れた。

中林雪乃は娘の姿を認めると、瞳をわずかに輝かせた。

「中林真由、石田渉はどうなったの?」

「母さん、弁護士にお願いしてきたわ。被害者の方の許しさえ得られれば、弟はすぐに出てこられるって。だから安心して」

中林真由は必死に笑顔を作って答えた。

「私の同僚の山崎奈々未、覚えてるでしょ? 彼女がすごく優秀な弁護士を紹介してくれたの。前科もつかない可能性が高いそうよ」

「だから母さん、今は病気を治すことだけ考えて。私は弁護士事務所に通うことになると思うけど、心配かけたくないの、わかってくれる?」

今、母にショックを与えたら、それこそ命に関...

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