第16章 彼女を信じるの?

中林真由の顔も冷たくなった。「もう一度言ってみなさい。あなたがこの目で、私がボタンを押すのを見たと?」

阿部静香は恐怖に震え、慌てて今野敦史の後ろに隠れた。「今野社長」

彼女の体は絶え間なく震え、声も嗚咽に変わる。「今野社長、私が言ったことはすべて本当です。本当なんです」

今野敦史は彼女の肩を抱き、冷ややかに中林真由を見据えた。「お前に彼女を問い詰める権利はない!」

その声には怒気が含まれており、病室の他の者たちは息を殺した。

中林真由は彼を嘲るように見つめる。恋は人を盲目にするというが、今野敦史のような社長でさえ例外ではないらしい。

こんなにも見え透いた嘘を、彼は信じたというの...

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