第175章 入社

中林真由は受話器を握りしめ、胸の鼓動を抑えながら口を開いた。

「高橋社長、私のこと、覚えていらっしゃいますか」

 今野敦史からの「業界追放令」が、高橋大和の元にまで届いているかどうか確信が持てなかった。両社には提携関係があるからだ。

 高橋大和が率いるリーウェイグループは、規模こそ大きくないものの、独自の素材技術を持っているおかげでそれなりの知名度がある。

 以前は他地域を拠点にしていたが、最近になって海市に根を下ろそうとしているようだった。

 もし今野敦史の手が回っていれば、高橋大和も中林真由を雇おうとはしないだろう。

「中林秘書? 君から電話とは珍しいな」

「以前、もし私が...

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