第178章 サーフィン

翌日の午前、山崎奈々未は松山薫と共に社長室へ報告に向かった。

 中林真由が去って以来、秘書課では何事も二人掛かりでなければ回らなくなっていた。

 今野敦史が新たな秘書を雇う気配を見せない以上、山崎奈々未が覚悟を決めて中林真由の穴を埋めるしかなかった。

 だが、彼女の実力で中林真由と同じ仕事量をこなすなど到底不可能で、連日の残業は避けられない運命だった。

 今野敦史は顔を上げようともせず、ひたすら契約書をめくり続けている。

 確認、マーキング、そして署名の反復動作。

 不備があり丸で囲まれた書類は無造作に放り出され、基準を満たしたものだけにサインが走る。

 かつては、これも中林真...

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