第18章 余情がまだ終わっていない

中林真由のその平手打ちは、ありったけの力が込められており、阿部静香は殴り倒されたまま泣くことさえ忘れていた。

「中林真由!」今野敦史が前に出て、中林真由の手首を直接掴んだ。

病室にいる他の者たちは息を呑んだ。誰も中林真由がこれほどまでに手酷いことをするとは思わなかったのだ。

中林真由は手を振りほどくと、バッグからウェットティッシュを取り出し、念入りに自分の手のひらを拭った。

「今野社長、先ほどの話は皆が聞いておりました。あなたも証人です。真相が明らかになり、私は約束通り手を出したまで。何か問題でも?」

彼女の瞳の奥は氷のように冷たく、いつでも狩りをする獣のようだった。

今野敦史は...

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