第19章 失寵

「情? 私があなたに情を抱いているとでも?」

今野敦史は力ずくで彼女のシャツのボタンを引きちぎり、その下から雪のように白い肌を露わにした。

彼は彼女の顎をぐっと掴み、無理やり自分を見上げさせる。

「誰が道具に情など抱くものか。中林真由、言ったはずだ。自分の立場をわきまえろと」

「どうやら甘やかしすぎたようだな。俺たちの間の取引を忘れたのか?」

中林真由の瞳に再び嘲りの色が浮かんだ。どの口が取引などと抜かすのか。

元々は一年だけそばにいればいいと言っていた。だがその後、彼は全く彼女を解放しようとせず、ことあるごとに彼女の母親を盾に脅してきた。

今になって新しい愛人ができた途端、ま...

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