第259章 彼女を不快にさせる

病院を出る今野敦史の顔には、隠しきれない笑みが浮かんでいた。

運転手はすぐに悟った。中林秘書との話し合いがうまくいったのだと。

ここ数年、今野敦史の傍らには常に中林真由がいたことを思うと、やはり彼女が戻ってくるほうがいいと運転手も思う。

あの阿部静香という女は、どうしても好きになれない。

根はただの小市民のくせに、時折気取ったお嬢様のような態度をとり、まるで自分が今野グループの社長夫人にでもなったかのように振る舞うのだ。

彼も上村賢人も、陰では阿部静香の悪口を言っていたし、秘書室の連中も彼女を嫌っていた。

だが、どうしようもない。今野敦史が気に入っているのだから。

しかし、これ...

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