第262章 手術開始

今野敦史は、都心の高級フラットへ直帰した。

中林真由が去って以来、彼はここを寝床としているだけで、他に行く気も起きない。

だが、帰宅するたびに漂う空虚感はどうしようもなかった。何一つ不自由ないはずなのに、何かが決定的に足りないという欠落感だけが募る。

彼は他人が家にいるのを嫌うため、ハウスキーパーは彼の留守中に掃除を済ませ、即座に撤収することになっている。

上村賢人が日用品を買い揃えてくれたが、どれ一つとして気に入るものはなかった。

ただ、中林真由がもうすぐ戻ってくると思えば、幾分か気も晴れる。

彼はソファに身を投げ出し、苛立ちを覚えた。

抱き枕がない。中林真由が持っていってし...

ログインして続きを読む