第263章 拒絶できない

さらに十五分が経過し、中林真由の張り詰めた糸がついに切れそうになった。

彼女はスマホを手に取り、今野敦史に電話をかけようとする。

その時、不意に手術中のランプが消えた。手が震え、スマホを取り落としそうになる。

なぜか、悪い予感が胸をよぎった。

その場に立ち尽くし、固唾を呑んでドアを見つめる。

やがて、一人の女医が姿を現した。

ひどく消耗し、額には玉のような汗が浮いている。

ハーフなのだろうか。東洋的な顔立ちの中に、西洋人の透き通るような碧眼が嵌め込まれていた。

医師の瞳には、笑みが浮かんでいた。

「中林真由さんね? 私が母さんの執刀医、金子よ」

「金子先生、母は、母はどう...

ログインして続きを読む