第294章 返事を求める

中林真由は気づかれないほど微かに眉を寄せ、すぐに首を横に振った。

「本当にその必要はありません。それに今の体調は万全ですので、過度なご心配は無用です。取締役会長の業務に支障をきたすようなことは、決してありませんから」

「中林真由、俺が心配してるのは、兄貴の下で働かせるためじゃないってことぐらい、わかってるだろ!」

江口俊也の声が不意に大きくなり、中林真由はびくりと肩を震わせた。

彼はやるせなげに目を閉じ、その表情にはどこか寂寥感が漂う。

「中林真由、俺がそんなつもりじゃないって、わかってるはずだ。そうだろ?」

中林真由は江口俊也を見つめるだけで、言葉を返さない。

もちろん、彼の...

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