第296章 あなたのそばにいたくない

中林真由は唇を引き結び、沈黙を守った。今野敦史が何を企んでいるのか知りたくもない。ただ、ここから逃げ出したかった。

彼女は深く息を吸い込む。

「今野社長……」

「子供、好きなのか?」

唐突に今野敦史が尋ねた。中林真由は一瞬、呆気に取られる。

子供が好きか?

さっき見かけた双子は、確かに可愛いと思った。

もともと中林真由は子供好きなほうだ。欠落のない完璧な新生児を見て、少し羨ましくもなった。

無意識のうちに手が下腹部へと伸びる。かつて、そこには命が宿っていた。

彼女と、今野敦史の子供が。

今野敦史は彼女の白い首筋と美しい鎖骨を見下ろし、喉仏を動かした。

「もし、あのまま流...

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