第316章 面倒

その晩、中林真由は二度と今野敦史の姿を見なかった。

彼は本当に姿を消したようだが、中林真由はわざわざ理由を尋ねる気にもなれなかった。

どうせ今野敦史は接待で来ているのだ。ずっと彼女に構っている暇などあるはずがない。それでいい。

さっきの、彼女を抱く気満々だった様子を思い出せば、もし出くわしていたら、今日という日は逃げられなかっただろう。

彼女が「口説くチャンスをあげる」などと大口を叩いたのは、単なる時間稼ぎに過ぎない。

そもそも彼には白川芽唯や阿部静香がいる。その二人への対応だけでも、今野敦史は手一杯のはずだ。

個室に戻ると、同僚たちは皆楽しそうに騒いでおり、お開きになったのは夜...

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