第32章 彼女に飲ませる

家で一晩中鬱々としていた高木文也は、翌日の夜になると、やはり友人をシーズンバーに呼び出して騒ぐのを我慢できなくなった。

警察署から無事に出てこられたのだから、祝うべきことだ、と彼は思った。とにかく、皆で一緒に遊ぶ口実を見つけたかったのだ。

一時間ほど飲んでいると、高木文也はどうにも何かが足りない気がしてきた。

中林真由の姿が、常に目の前をちらついている。彼は直接、彼女に電話をかけた。

「シーズンバーにいるんだ、早く来いよ! 警察沙汰になったんだ、今日は厄払いしなきゃ。お前は大功労者なんだから、来ないなんて筋が通らないだろ!」

「ちゃんと礼をしなくちゃな、中林真由。お前がいなかったら...

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