第331章 是非多し

席に戻っても、中林真由の機嫌は一向に上向かなかった。

ストレス耐性にはそれなりに自信があるほうだが、今日ばかりは腹の底から湧き上がる不快な熱を、どうしても抑え込めそうにない。

乾いた唇を舌先で湿らせる。コーヒーでも飲まなければ、やっていられなかった。

だが、給湯室のドアに近づいたその時、中から遠慮のない話し声が漏れ聞こえてきた。

「今朝の白川さんの話、やっぱり本当なのかな? あんな上品な人があそこまで言うなんて、よっぽどよ」

「本当でしょ。じゃなきゃ、長年勤めた今野グループを辞める理由がないじゃない」

「今野社長と別れたってこと?」

「恋人じゃないでしょ。捨てられて悔しいんじゃ...

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