第352章 なぜ

中林真由は首を横に振った。

「お腹は空いてません」

今野敦史が潔癖症なのは知っている。こんな屋台の食事など、彼が口にするはずがない。

もっとも、中林真由は昔よく食べていたけれど。

学生時代は誰もがお金を持っていなかったから、学校近くの小さな飲食店が多くの学生にとっての第一選択肢だったのだ。

彼女は学校の前にあった焼肉の店が特に美味しかったことを覚えている。一週間以上も通い詰めたほどだ。

その後、本当に太ってしまったので諦めたのだが。

足が遠のいた後、焼肉屋の店長が「君が来なくなってから景気が悪いよ」と嘆いていたらしい。

やはり、看板娘がいると客足が伸びるということか。

焼肉...

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