第365章 帰ってきたのか?

今野敦史の唇が、わざとなのか偶然なのか、中林真由の耳たぶをかすめた。

びりっと、全身に電流が走る。

耳は真由の弱いところだ。今野敦史は、それをよく知っている。

こうされるたびに、どうしても震えが止まらなくなる。

真由はくるりと振り向き、彼をにらみつけた。頬はもう、じわじわと赤く染まっている。

今野敦史が、喉の奥でくつっと笑った。

彼が口を開こうとした、その瞬間――真由のスマホが鳴った。

介護士からで、今日は一旦来なくて大丈夫だと伝えられる。母さんが少し疲れてしまったようで、すでに眠り込んでいる。医者としては、休ませてあげたいそうだ。

真由は「わかりました」とLIMEに返してか...

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