第377章 上辺だけ

小島文彦が立ち去った後、中林真由は歩いてホテルへ戻ることにした。

ホテルとレストランの距離はそれほど離れていないし、少し頭を冷やしてリラックスしたかったのだ。

通り雨が上がったばかりで、あちこちに水たまりができている。気温もずいぶんと下がっていた。

彼女は上着をかき合わせ、ホテルの方角へ一歩一歩進んでいく。

小さな水たまりを通り過ぎるたび、彼女はわざとそこへ足を踏み入れた。

実は幼い頃から、長靴を履いて水たまりを踏むのが好きだった。毎回それが楽しくて仕方なかったのだ。

水面に映る影が砕け散り、そしてまた一つに集まっていく。まるで、すべてが元の場所に戻れると言わんばかりに。

子供...

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