第379章 気絶したふり

今野敦史は、彼女の指を執拗に弄びながら言った。

「真由、まだ怒っているのか? もう済んだことだろう」

中林真由は、もう彼と口を利く気にもなれなかった。

何もしていないくせに、なぜ怒っているのかと尋ねるのか。

自分で自分の機嫌を取り、最後には今野敦史に笑顔を見せろとでも言うのだろうか。

どうして私がそんなことを。

母さんが味わった苦痛を思えば、阿部静香を許すことなどできない。もちろん、今野敦史のこともだ。

今野敦史が阿部静香を庇い立てしなければ、あの女はとっくに刑務所行きだったはずだ。

彼が庇わなければ、中林真由はとっくに怒鳴り込みに行っていた。

今野敦史は何一つ行動を起こさ...

ログインして続きを読む