第381章 あの日のこと

上村賢人は少しだけためらってから、ようやく短く返事をした。

「……ご存じでしょう、今野社長は、部下が勝手に動くのがお嫌いなんです。今回は、完全に私の落ち度です」

中林真由はふらりと窓辺へ歩み寄り、窓をほんの少しだけ開けた。

吹き込んでくる冷たい風に身を震わせながらも、胸のざわめきは一向に静まらない。

上村賢人が今野敦史に付き従って、もう何年にもなる。

昔から一貫して、忠犬のように仕えてきた男だ。

北村一馬たちが今野敦史の遊び仲間だとするなら――。

上村賢人は、数少ない「友達」と言っていい存在だと、かつての真由は思っていた。

少なくとも、今野敦史は上村賢人を信頼していた。

ほ...

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