第402章 指輪は外さない

話がまとまり、中林雪乃の機嫌もすっかり良くなった。

傍らでその一部始終を見守っていた石田渉は、笑いが止まらないといった様子だ。

彼の言った通りだ。十年の歳月といえば、犬や猫を育てていても情が移るもの。ましてや、朝夕を共にした人間同士なら尚更だろう。

中林雪乃は上機嫌で、「私が腕を振るう」と張り切ってキッチンに立った。

石田渉はまたしても買い出しに駆り出され、中林真由は「一人で作りたいから」とキッチンから追い出されてしまった。

「お母さん、病み上がりなんだから私がやるよ」

中林真由はキッチンの入り口を塞ぐようにして言った。

しかし、中林雪乃は首を横に振る。「敦史さんの相手をしてあ...

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