第413章 会いたい

中林真由は彼におどけられて、思わずふっと笑い声を漏らし、ぽかぽかと彼の胸を軽く叩いた。

この男、胸板がやけに分厚い。

そう思った途端、中林真由の頭の中に、あの日の光景がよぎる。今野敦史が、あの大きな手でシャツのボタンをひとつずつ外していった時のこと──

ほんと、人を誘惑するやり方、よく分かってるんだから。

意識が変な方向に飛びかけているのを自覚して、中林真由は気まずそうに咳払いした。

「……あらかじめ言っておいてくれればよかったのに。こっち、心の準備も何もしてないのよ」

「準備って、何をだよ?」今野敦史は、彼女の額を指先でちょん、とつつき、そのまま手を取って車の前まで歩いていく。...

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