第414章 遺書

市役所はそれほど遠くなく、ふたりはあっという間に入口へたどり着いた。

婚姻届の受付に並ぶ必要もほとんどなく、すぐに窓口の前に腰を下ろす。

手続き自体も、ごく簡単なものだった。署名をして、婚姻届の必要事項を埋めれば、それで終わり。

中林真由は、その今野敦史がなぜか飴まで用意してきていて、ひとりひとりスタッフに配っているのに気づいた。

顔にはほとんど表情がないのに、赤く染まった耳たぶだけが、彼のうしろめたさを雄弁に物語っている。

中林真由はそんな彼を見つめながら、ずっと微笑みを浮かべていた。

まさか、あの今野社長が――こんな日も来るなんて。

それが全部、今野敦史が前もって準備してく...

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